鏡の四季


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 「鏡の四季」のシリーズを始めます。一回目は「春」です。
 ここ何年か、古典や物語を縦軸に置き、即興を含む現代ヴァージョンで、分断、解体してその作業現場を現代劇として提出してきましたが、今回はあえて主軸のテキストを置かない作業です。以前、ソロ活動として四年間(春、秋、冬、夏の順番に)試みたことがありますが、複数で主軸にテキストを置かず現場で立ち上げるという作業は、久しぶりです。規定されているのは「春」だけ。「鏡の〜」とは美術、音楽も含めて、乱反射、きしみ、すきまを、身体、言語に共有させる仕掛けでもあります。
 ここ何年かの作業をともにしてきた出演者四人に、いずれも共同作業をしたことのあるメンバーを迎えました。
 金沢からは、劇団新人類人猿の今井淑恵さん、ライトデザイナーの宮向隆さん、新潟からはスライドによるビジュアル・パフォーマンスのナシモトタオさんが加わります。音楽では五弦ウッドベースの水野俊介さんと、「岡本太郎の言葉」展で共同作業した塩澤文男さんが美術とパーカッションで参加します。
 タイニィ・アリスの空間にそれぞれの風をはらんで共同作業し、新たな劇空間を開示しようとする試みです。
 金沢、新潟、東京の乱反射の風はどんな色や匂いになるのでしょうか。タイニィな空間から宇宙空間までの往環現象として、季節はずれの春の嵐がふきわたることを念じています。

(1998年10月、タイニィ・アリス公演に向けて/千賀ゆう子)


 「鏡の四季」シリーズ vol.2は「鏡」です。
 このシリーズは、1998年10月、タイニィ・アリスにてvol.1「春」で始まりました。物語等、主軸のテキストを置かず、出演者各自にとっての切実なテキストを持ちより現場で立ち上げるという作業です。
 5人の俳優とチェリスト、ライティング・デザイナーが観客とともにタイニィ・アリスの空間の一刻一刻を自らも変容しつつ共有していく“鏡の迷路と乱反射の世界”手鏡、姿見、三面鏡、内視鏡、潜望鏡、顕微鏡、望遠鏡、万華鏡?
 残酷に美しいこの2000年の遺言劇。季節感さえも失くした白い闇に、あらたな「鏡」が垂直に立ち上がって来るのを念じて。

(2000年9月、タイニィ・アリス公演に向けて/千賀ゆう子)