「桜の森の満開の下」は坂口安吾が1947年(昭和22年)に発表した同名小説をもと に岸田理生が千賀ゆう子のために1983年に書き下ろした作品です。岸田理生の脚本で
は老婆の一人語りという形をとりながら、老婆の影ともいうべき黒衣を登場させ演劇 的な空間を構築しています。
黒一色に統一された舞台上には、“造り物”のしだれ桜があるだけ。桜の下に黒衣 によって導かれた老婆は、一杯の酒を受け取り、“物語り”を語り始めます。千賀は
、老婆、果てしない欲望を持つ都の女をはじめ、鈴鹿山中に住む山賊、びっこの女な ど全ての登場人物を演じ分け、しだいに桜の花の満開の下に潜む恐怖の秘密を解き明
かしていきます。
また橘政愛が舞台脇で演奏する石、釘、鉄片、植木鉢などの打楽器によるオリジナ ルな音楽は、この世界と拮抗しつつ、この世界に深みと空間の広がりを与えています。
1983年に東京で初演され、その後仙台、名古屋、岐阜、京都、四日市、広島、金沢 、高岡、富山、横浜の他、安吾ゆかりの新潟、長岡、松之山、桐生など全国各地で、また空間も小劇場から大劇場、100年以上前の酒蔵、ライブハウス、お寺の本堂
映画館、美術館、200年以上前の庄屋の家(重要文化財)などあらゆる空間で上演を続けています。
原作/坂口安吾
脚本/岸田理生
演出/笠井賢一
出演/千賀ゆう子 丹下 一(黒衣)
楽師/橘政愛
企画制作/千賀ゆう子企画+迦樓羅舎
1983年 10月 | 中野あくとれ にて初演。 |
12月 | 東京/林泉寺本堂(以上2公演、演出は岸田理生) |
1994年 5月 | 仙台/アリゲーターキング(この公演から演出が笠井健一に、楽 師・橘政愛参加。) |
7月 | 名古屋/七つ寺共同スタジオ(マリコ・フェスティバルに出演) |
1995年 2月 | 東京/ジァン・ジァン「語りの空間展」に出演。 |
1986年 6月 | 東京/ジァン・ジァン 岐阜/セルロイド・クラブ 京都/無門館 |
1987年 8月 | 四日市/あさけプラザ |
1991年 2月 | 東京/ストライプハウス美術館 |
4月 | 仙台/141ギャラリーホール |
10月 | 長岡/栄凉寺本堂 新潟/シネ・ウインド 松之山/町民会館 |
1992年 4月 | 広島/広島現代美術館 |
1994年 4月 | 金沢/109イベント・ホール 高岡/武田家住宅(240年前の庄屋の家/重要文化財) |
1995年 7月 | 東京/タイニィ・アリス |
1996年 3月 | 東京/ストライプハウス美術館 |
4月 | 富山・上市/北アルプス文化センター 金沢/泉野図書館ホール 桐生/有臍館酒蔵 横浜/相鉄本多劇場 東京/世田谷文学館(坂口安吾展で上演) |
2000年 4月 | 東京/ストライプハウス美術館 |